「観光」は自然と共存してこそ成功できる
気になる記事を見つけました。観光地と化している、九州大の演習林の話です。
まず、最初の前提として、「観光」は、大事な産業です。だからこそ、自然と共存をしていかなければ、そのための方策を真剣に考えなければいけないと思います。でも、美しい環境を多くの方にみていただきたいと思いとは反対に、かえって環境が悪化していく結果になっていくという事例は、各地で増えているようです。特に、ホタルを保全している場所では、かなり以前から悩みのタネになっていると聞きます。
回顧録のようになってしまいますが、ちょうど今から30年ほど前の1990年代は、山を切り拓いて建てた、観光リゾートホテルやゴルフ場、スキー場の開発が当たり前のように行われていましたし、ある意味で「自然が置き去りにされた観光」が優先の時代だったように思います。当時は、自然を保全することはヒトが楽しむことが優先されていた時代だったと思います。それから10年が経過して、2000年代に入ると、だんだん、自然は守るモノであるという考え方が一般化してきたようにと思います。それからは、さらに科学技術も急激に進化し、現場は、自然との共存を重用しなければやっていけない時代になリ、今やそれが当たり前という意識が定着していると感じています。
でも、この記事をみて、ひょっとしたら「地域観光」は、まだ30年前と同じ動きをしているんじゃないのかな、と感じました。この30年間に、時代も、自然に対する考え方も、大きく変わったと思っていたけれど、「人々の自然を見る態度は、30年前から何ら進歩していないのでは?」と。
見て帰るだけで終わる「観光」は、もう時代遅れなのでは?と。観光の在り方自体が、大きな過渡期を迎えているように思えるのです。
「観光」によって、自然が壊されると認識されることは、多くの方々にとってもマイナスで、このような事例がたび重なれば、「観光」自体が喜ばれなくなってしまいます。これからの「観光」は、自然との共存は、必須であると思います。そうしないと、この先、「観光」という産業自体が、廃れていく方向に向かってしまうのではないか思うのです。
ホタルの鑑賞は、地域観光の目玉です。だからこそ、自然との共存は必須です。ただ見るだけで終わっては、その重要性は、なかなか伝わらない、だからこそ、多くの方々に、何らかの形で、関わっていただけたら、何か良い方向へ変わっていくきっかけを作れるのではないか?…と、思っています。
私が、ホタルの飼育にこだわるのは、飼育してみないと判らないことがいっぱいあるからですが、飼育そのものを実際にしなくても、育てることに何らかの形で(間接的であっても)関われれば、それで十分だと思います。自己満足で生息地に踏み込むことで、反面、何を失っているかを、観光する側が感じ取れるようになることが、大切だと思います。それは、実際に育てることに関われってみれば、おのずとごく自然に気付くことができるようになることだと思います。
ホタルが誰でも見られる社会は、仮に、立ち入り禁止と書かれた柵が無くても、ちゃんと、自然の環境を守ってホタルを鑑賞できる世界がだと思います。それが、だれもが、当たり前にできるようになった時、「観光」も、まさに今の社会に合致した、新たな時代を迎えるのだと思います。
西日本新聞「まるでジブリ」 九大の森、SNSで評判 福岡・篠栗町 人出に困惑 踏み荒らされ、渋滞も
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/405241/